株式会社カンムの八巻社長に聞く。クレジットカードの新サービス「CLO」

CLO

CLOって何?その前におさらい、クレジットカードの仕組み

2008年ごろからアメリカで展開され、2013年には業界団体としてCardLinxAssociationが設立されている「CLO(Card Linked Offer)」というクレジットカードを利用したサービスが国内でも続々開始されています。
「CLO」って何?という説明の前に、まずクレジットカードのしくみを図説でおさらいしてみましょう。

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端末にクレジットカードを通すとまず、データをまとめて管理しているネットワーク会社に接続し、そこからカード会社にデータが送られます。
カードを利用してから、引き落とし日に銀行口座から代金が引き落とされるまで、上の図を見ればわかる通り多くの会社が関わっています。
たった一度のクレジットカード利用にも、様々な会社が関わって大きなインフラになっていることがわかりますね。

店によっては2000円や3000円以上からではないとクレジットカードが使えない場合がありますが、このように多くの会社で手数料を分け合うことになると、少額でクレジットカードを利用されると赤字になってしまう可能性があるのかもしれません。

カード利用時のインフラを利用した新しいサービス、CLO

一度のカード利用に多くの会社が関わっていることがわかりました。今まではこういった大きな流れがコストとして認識されていましたが、この大量のデータを解析することによって生まれたサービスがCard Linked Offers(カードリンクトオファー)、通称「CLO」です。

カード利用時のインフラを利用し、自動でカードに紐付いたお得な提案を受けられるそうです。クーポンを見せてお店に入る必要もなければ割引サービスなどに別途加入する必要もありません。
ただ普通にクレジットカードを使っているだけでたくさんのメリットがあるなら嬉しいですね。

今回は、この仕組みを日本でCLOサービスの展開をされている株式会社カンムの八巻渉社長に解説して頂きました。

日本初のCLOの仕組み

株式会社カンム 代表取締役社長の八巻渉さん

株式会社カンム 代表取締役社長の八巻渉さん

はじめまして、株式会社カンムの八巻と申します。
2008年に米国で始まったCLOサービスを、2013年に日本で初めて実現した事業を運営しています。
現時点では、大手クレジットカード会社のクレディ・セゾン様と共同でサービスを提供しています。

そのCLOの仕組みですが、カード会社であれば会員がどのお店で使ったかのデータを持っています。
そのデータを用いて、ある会員がある加盟店で利用した場合、キャッシュバックしたり、高額なポイントを付与するオファー・クーポンを提供しています。

弊社の仕組みでは、カード会社のWeb明細画面に、下記のようなクーポンコーナーを設けていて、会員はここからクーポンを見ることができます。
そして、エントリーを行って、対象のお店で持っているカードを使えば、後日倍付けポイントが溜まっている、という仕組みとなっています。

出所:クレディ・セゾン:ネットアンサー(7/18時点での筆者アカウントでの表示)

出所:クレディ・セゾン:ネットアンサー(7/18時点での筆者アカウントでの表示)

なお、このクーポンは人によって違ったものが表示されています。
その出し分けは、性別・年齢といった属性情報や、実際にどこでカードを使ったか?という購買履歴を元に行っています。

そのビジネスモデルですが、お店から広告費をいただいてます。
ベースは成果報酬型で、実店舗向けのアフィリエイト、というのがわかりやすいと思います。

お店側のメリット

CLOはカード会員からすると、クーポンを持ち歩かなくて良い、といったメリットがありますが、それでは、お店側のメリットは何でしょうか?
他の広告と比べてCLOは何がよいのでしょうか?

それは大きく分けて2つあります。

【1】カード会社のデータを使ったターゲティングができる

実店舗は、ポイントカード等を発行していない限り、買った人のデータを持っていません。
また、ポイントカードを発行していても、年齢や生年月日、といった基本的な情報しか持っていないことがほとんどです。
これだと、マーケティングに限界があります。

かたや、カード会社は、会員の与信判断のために、基礎的な属性情報だけでなく、年収やカードの利用情報等、普通のお店では到底持ちえない情報を持っています。
CLOではこういった情報を使って、ターゲティングAにはこの画像、ターゲティングBにはこの画像、といった細かい出し分けをすることができます。
これをうまく活用することで、お店にとってきて欲しい人に、適切なメッセージで訴求することができます。
アメリカではもっと露骨でして、3日以内にバーガーキングに行った人にマクドナルドのクーポンを出す、といったことも行っています。

【2】お店側で設備投資やオペレーションを変更する必要がない

これは特に大手のチェーン店で重要になってきますが、原則カードが使えるお店であれば、新しい端末を導入したり、店員に新しいオペレーションを教育する必要がありません。
チェーン店であれば全国に数百という店舗があり、端末を買うのにも大型投資が必要で、かつその店員ひとりひとりに「このクーポンがきたら、こうしなさい」という教育をするのにも手間もかかります。
CLOは、その投資と手間を省くことができて、特に本社のマーケティング部が気軽に実施できる施策となっています。

日本のCLOの課題

上記のように、会員・お店双方にメリットがある仕組みで一気に広がっていくように思われましたが、一つ落とし穴がありました。

カード会社はどの店で使ったかのデータを持っている、と書きましたが、それは日本の場合だとインフラによって分かる場合と分からない場合が出てくるのです。

具体的には、あるカード会社Aと加盟店αは、オンアス契約という、直接取引の契約を締結していて、加盟店αでカード会社Aの会員がカード決済すると、αからAに直接データが飛んできます。
直接のデータですので、どの加盟店のどの端末?レベルまで把握することができます。

かたや、カード会社Aとオンアス契約していない加盟店βの場合。
βでAの会員がカード決済した場合、その決済データは決済ネットワークを通って、Aに届きます。
この過程で「どのお店で使ったか?」というデータが無くなってしまうのです。

つまり、カード会社によっては、100%識別できない加盟店も存在していて、その加盟店ではCLOを実施できなくなってしまいます。

これが日本でまだCLOが普及しきれていない、一番大きな課題だと考えています。

この課題を解決するために、弊社では自社会員を募る、自社のブランドプリペイドカードというものを発行しようと思っています。

出所:https://vandle.jp/

詳細は省きますが、プリペイドカードであれば、この問題を解決することができます。
一刻も早くこの問題を解決して、皆様がCLOを使えるようになるよう頑張ります。

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八巻さん、ありがとうございました!
ユーザー、カード会社双方にメリットのあるこの新サービス。
ぜひ一般的に広く使えるようになってほしいものですね。

【取材協力】
株式会社カンム
代表者:八巻 渉氏 設立:2011年1月
スタッフ数:7名 URL:https://kanmu.co.jp/
事業内容:Card Linked Offer(クレジットカード決済連動型優待)サービスの開発・運営 Visaプリペイドカードの提供

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